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アメリカ国外からアメリカの大学、特にアイビースクールに留学したい人の問い合わせが、最近増えています。その中で最も多いのがSATのスコアに関する質問です。テストスコアで合否が決まるのではないかと思い、なかなか上がらず不安になっている相談者を多く見かけます。

アメリカの大学は、学校の成績やテストスコアだけでなく、クラブ活動やボランティアなど学校以外で何をしているかまで考慮して、総合的に志願者を評価します。これは他の国では一般的でない審査方法のためか、SATのスコアを上げることばかりに重きを置き、勉強以外の活動に力を入れてないケースも見られます。テストスコアが満点近くでなくても難関と言われる大学に入れることを説明してもなかなかわかってもらえないこともあります。SATなどのテストは世界中で実施され、数字で比較することが容易ですので、これに頼りたくなる気持ちもわからなくはありません。でもアメリカの大学は成績優秀者を上から順に合格させる方法をとっていません。

今回はアイビースクールを例に、どういう人を合格させたいのかを歴史的背景を交えて説明したいと思います。アイビースクールは元々、有名プライベートスクールに通う裕福な白人男子生徒が入れる特権階級のための大学でした。スポーツをたしなみ文化的に洗練された雰囲気の学生がほとんどを占め、大多数の学生は学問の追究より、社交ひいては将来のためのネットワーキングに比重を置いていました。一部のエリートが国を動かしていた時代だったので、大学もそれでよかったのです。

それが冷戦時代、旧ソ連が世界初の人工衛星スプートニク1号を打ち上げたのを機に一変したと言われています。科学技術に遅れをとったことに衝撃と危機感を抱いたアメリカが、東側諸国に負けないため軍事、科学、教育政策の大きな再編を余儀なくされ、大学生の学力が格段に重要視されるようになったのです。

そうは言ってもアイビーリーグは、学力優秀で将来一流の大学教授や研究者になると思われる志願者ばかりを入れるわけではありません。国内外のあらゆる分野でトップに立つであろう人材を求めているので、成績やテストスコアがずば抜けて良いだけで合格させる割合は思った以上に低いのです。一言で言えば、社会に出てからそれぞれの分野で本領を発揮できるポテンシャルを持った高校生を合格させたいのです。

どんな活動や趣味を持つべきかに正解というのはありませんので、高校生の皆さんは自分ならではの興味や才能を伸ばすことに力を注いでほしいと思います。そして自分の興味のわくボランティアなどを通じて社会に貢献できるよう努めてください。アメリカの大学だけでなく会社でもこういった人を高く評価します。

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