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先週25日(木)、在ニューヨーク総領事館の廣木重之大使によばれて、お話をしてきました。
       With Ambassador

廣木大使によると、アメリカでの日本人留学生の数が、10年前と比べて半数の約二万人に減少しているそうです。アメリカの留学生で一番多いのは中国人で、その後インド人、韓国人と続き、以前は一位だった日本人は七位に下降しています。留学したいという熱意はあっても、英語力、学力、経済力の面で不安があったり、留学後の就職不安で二の足を踏むのが現状のようです。廣木大使は、日本人留学生を増やすのにどうすればよいか対策を考えていらっしゃるそうです。

アメリカに日本人留学生が増えれば、日本の文化面や外交面でプラスになるのはもちろんですが、経済面でも大きなプラスになります。語学力があり、海外にネットワークを持つ日本人が増えれば、グローバル化の時代に相応しいビジネスが展開しやすくなるでしょう。そう考えると日本の若者が海外に勉強しに行かなくなれば、日本にとって大きな損失とも言えます。

私は、アメリカに住んでいる日本人高校生のアメリカ大学進学のお手伝いをしていますが、主に学費の安さから、日本の大学を選ぶ例をよく見聞きします。すでにアメリカに住んでいる日本人の高校生は、留学生に比べて、語学面でも生活面でも慣れているのですから、寮に入って生活面からもどっぷり学生生活に浸れ、一般的にワークロードも多くやりがいのあるアメリカの大学に、ぜひ進んでいただきたいなと思います。それにスカラシップなどで、アメリカの大学に安く行けることもあるので、あきらめないでリサーチしてみて下さい。

ほとんど学力だけで合否の決まる日本の大学と違って、アメリカの大学は様々な要因が考慮されて合否が決まります。ですので合格要因を増やすアドバイスをして、入れる大学ではなく入りたい大学へ入れるよう、これからも皆さんの後押しをしていきたいと思っています。
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緑が日増しに濃くなり、やっと暖かくなってきたと思っているうちに、高校や大学などの卒業式シーズンを迎えようとしています。今回は、大学の卒業式で、ゲスト・スピーカーが卒業生に向けて送るスピーチに焦点を当てたいと思います。英語では卒業式をcommencementと言って、「始まり」という意味もあります。まさにこれから人生本番をスタートさせる卒業生に向けたスピーチですが、ずっと昔に卒業した私にも考えさせられる事がたくさんあります。

大学は、その大学を卒業したり、ゆかりのある著名人、あるいは政治家や芸術家など各界で活躍している有名人に、スピーチを依頼する事が多いですが、最近ではYouTubeなどでスピーチの模様を見ることができます。気になる大学の歴代のゲスト・スピーカーを調べれば、その大学の目指す方向性を垣間見ることができますし、スピーチから大学願書用のエッセイのヒントをもらえるかもしれません。志望大学のリサーチの一つとして、卒業式のスピーチにも注目してみて下さい。

私がなんと言っても心を打たれたのは、iPhonやiPadなどの革新的な商品を生み出したアップルのCEO、スティーブ・ジョブが、2005年にスタンフォード大学でしたスピーチです。こちらのは、日本語の字幕付きです。
http://http://www.youtube.com/watch?v=XQB3H6I8t_4

2003年に膵臓がんの手術を受け、死を意識していたせいか、ジョブの言葉には説得力があります。「いつか死ぬんだということを心に留めていることは、自分が本当にしたい事をする時に、外部からの期待や、プライド、恥や失敗への恐れを考えないですむ最も良い方法だ。なぜなら死によって、そのようなものはすべてなくなるのだから。」、「「生きている時間は限られている。他人の人生を生きるのではなく、自分の心や直感を頼りに自分の本当にやりたい道を進む勇気を持ちなさい。」などなど。

ジョブほど有名ではありませんが、カーネギー・メロン大学のコンピューター・サイエンス教授で、膵臓がんで2008年に亡くなったランディ・パウシュも、人生を最大限に生きた一人と言えるでしょう。亡くなる数ヶ月前に、カーネギー・メロン大学の卒業式で、ゲスト・スピーカーの元副大統領で、2007年のノーベル平和賞受賞者でもあるアル・ゴアの後、スピーチをしました。ジョブと同じように、自分のパッションを見つけ、それを追求する事が、大事だと言っています。
http://http://www.youtube.com/watch?v=RcYv5x6gZTA

パウシュが亡くなる前年、退職時の公開レクチャーでのスピーチが元になった本”The Last Lecture"は、日本語では「最後の授業」というタイトルとなって本が出ています。日英語どちらでも、ぜひ読んでみて下さい。彼の挫折に負けない生き方、最後まで家族を思って軽やかに生きた姿勢は、年齢を問わずすべての読者に感動と勇気を与えてくれるはずです。

高校生シニアの皆さんは、願書を出した大学から合否の連絡が来て、どの大学に行くかもう決めている人はたくさんいると思います。その方たちは、おめでとうございます!高校卒業までの短い期間をエンジョイして下さい。まだどの大学に行くか迷っている人がいると思います。今回は、そんな人達へのアドバイスを書きます。5月1日が大学へのデポジットの最終日ですから、巷のランキングに惑わされず、一番合った大学を見極めて下さい。

まず一番最初に考えなければいけないのは、経済面です。学費をちゃんと払えるか、将来ローンの返済の事も考えて親子で話し合って下さい。一般的には、四年間の学生ローンの総額が、大学卒業後の一年間のサラリーを越えないというのが、無理なく返済できる金額と言われています。卒業後、小学校の先生になるのとエンジニアになるのとではサラリーが違ってきますから、自分が就くであろう職業のサラリー額で計算してみて下さい。

また合格した大学のファイナンシャル・オフィスから送られてくるグラントやスカラシップ、学生ローンの額などが明示された手紙を比較してみて、行きたい大学の自分の払う金額が、他に合格した同じくらいのレベルの大学と比べて多い場合、ファイナンシャル・エイドを増やしてくれる場合があります。ファイナンシャル・エイドの多い大学からの手紙のコピーを添付して、ダメ元でぜひ交渉してみて下さい。

その他、勉学面や生活面で一番合う大学を選択するには、やはりキャンパスを訪問するのが一番です。もしキャンパスを訪問できないのであれば、オンラインで学生新聞を読んで、キャンパスの雰囲気や学生生活の問題点を知ったり、同じ高校の卒業生でその大学に行っている人を紹介してもらってコンタクトして、質問するのも良いでしょう。

大学に何を望むか4から6くらいの条件を考えてみて、それに一番合う大学を客観的に選ぶというのも一つの方法ですし、自分がそこの学生のつもりでキャンパスを回り、一番行きたいと思える大学をフィーリングで選ぶというのも一つの手でしょう。大学進学は大きな投資ですので、家の購入くらいに慎重に、そして親子が合意してハッピーと思える選択をして下さい。